神奈川の文化財の未来を考える会

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設立趣意書

 神奈川県は日本最初の武家政権が生まれた鎌倉、後北条時代に関東の中心的存在であった小田原、近代文明発祥の地である横浜の例をあげるまでもなく、我が国の歴史に大きく関わりのある地域である。考古学的にもマンローの明治39(1906)年の横浜市三ツ沢貝塚の発掘調査以来、相模原市勝坂遺跡、川崎市子母口貝塚、横須賀市夏島貝塚など学史的に特筆すべき遺跡の発掘調査が行われ、「勝坂式」「子母口式」「夏島式」といった、縄文土器の標準型式名としてその名を多く残している。また、大和市月見野遺跡群の調査では、旧石器時代の層位的な発掘調査が初めて広域的に行われ、石器群の変遷が明らかにされるなど、時代を問わず学術的に多大な成果が挙げられており、日本列島の歴史解明に大きな役割を果たしてきた。

 このような貴重な文化財は人類共通の財産として、綿密な調査・研究と保護・活用が求められるところである。文化財の調査・研究と保護・活用には、その責務として行政機関が大きな役割を果たしており、平成12(2000)年の地方分権一括法(文化財保護法改正)施行後は、国から都道府県へ文化財保護に関わる権限が大幅に委譲され、地方自治体、特に都道府県の果たす役割は非常に重要になっている。

 しかしながら、神奈川県では、歴史・文化財に県民が直接触れる施設として県立博物館(現歴史博物館)・県立金沢文庫・県立埋蔵文化財センターを擁していたが、平成5(1993)年、かながわ考古学財団の設立によって、埋蔵文化財センターの発掘調査部門を財団法人化し、平成11(1999)年には、普及・啓発を行っていた埋蔵文化財センターの組織を廃止した。そして平成18(2006)年には、埋蔵文化財センターの「公の施設」(県民利用施設)という位置付けを廃止した。さらに平成22(2010)年には、県の公益法人としての(財)かながわ考古学財団を廃止することまでもが方針化されている。このような神奈川県の方針は、全国的に行政の文化財担当者や研究者、そして市民が手を携えて作り上げてきた埋蔵文化財保護体制を突き崩すものであり、日本の文化・教育の根本に関わる大問題である。

 私達は、地方の時代にあってこのような神奈川県の文化財保護行政、とりわけ埋蔵文化財に対する関与を年を追うごとに低めていく姿勢に対し、強い憂慮の念を抱いている。神奈川の文化財の窮状に対して、これを積極的に保護・活用し県民の歴史・文化・教育を守り高めることを目的として、ここに「神奈川の文化財の未来を考える会」を設立する。